「みなさん、揃って何をなさってるんですか？」
背後から声をかけられて少年たちはびくりとして広げていた本を慌てて隠す。
「はははははは…」
「えーっと…」
「………」
三者三様の反応で結奈は首を傾げる。
「飛鳥くん？」
一番まともな答えを返してくれそうな飛鳥を見ても視線をそらせて頬を掻くばかりだ。
「……それって、私には見せられないものですか？」
「っというか…カヅはんにも美沙紀ちゃんにも黙っといてや。これは寮生の死活問題や」
晃のヤツ…言わなくてもいいことを…。飛鳥は瞬間的にそう思ったが口に出した言葉は取り戻せない。
「わかりました。だまっていればいいんですね」
結奈はにっこりと笑う。
「そや。黙っといてな」
へらへらと晃は笑い返す。
「お願いします」
誠が丁寧に頭を下げる。
「………頼む」
飛鳥も神妙な顔をして頼み込む。
その様子がおかしくって結奈は吹き出しそうになる。
「上手くできたら、私にも分けてくださいね」
にっこり。
何喰わぬ顔で口止め料を要求されて少年たちの表情が固まる。
「楽しみにしてますから。みなさんの作るスイートポテト」
おいもの美味しい季節です。
END
200511040924
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