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「ワイはワカのことが好きだからなぁ…」
その言葉に誠は食べていたサンドイッチを落としかけた。
「…晃。おまえの趣味をとやかく云う訳じゃないが、その手の告白はワシのいないところでしてくれ」
頬をひきつらせた最年長者に晃は手を振る。
「やですわ、御大。ワイは…確かにワカのことが好きですけどそれはＬＯＶＥではなくＬＩＫＥですわ」
「ラ…ラ…？？？」
「せやから、恋人として好きっちゅーんじゃなくて友人として大切だってことですわ。それよりも…」
はぁ…。
重苦しいため息と共に丼の中のうどんをただつつく。
「あの…どうかしたんですか？」
少しほっとした表情で誠は晃を見る。
「どうしたもこうしたも…ワカとワイはライバルなんやで…」
「ライバル…ですか？」
「そや。美沙紀ちゃんを巡るラブ・アフェアや」
「ミサのラ…ラ…？？？？」
「ワイ…美沙紀ちゃんのことが好きなんやけどな…。やっぱりワカがおるさかい…」
なんとなく話の飲み込めない鼎の視線に誠は慌てて首を振る。
「僕と那須之さんは別に…」
必ずしもいつも一緒にいるわけでもないし、恋愛とは違うのだと説明する誠に対し「そりゃ、ワカが気づいてないだけや」と断罪する。
「美沙紀ちゃんは誰よりもワカを信頼してる。ワイや御大や飛鳥とは比べ物にならんほどはっきりとな」
勝ち目何ぞ最初からないんやけど…。
机に突っ伏した晃の背中を慰めるように飛鳥が叩く。
「え…あの…二人とも…」
「確かに、ミサは誠に甘えている節はあるわな」
「ちょっ…宝蔵院さんまで。そんな！違いますよ。僕と那須之さんは！」
「私がなんですって？」
突然聞こえてきた声に全員がその人物を見る。
「な…那須之さん」
「若林。何をこそこそと噂していたの？おっしゃいなさい」
不機嫌そうに横目で睨まれ誠は助けを求めて他の三人を見る。
「…どうせロクな事じゃないんでしょう。まったく…伊波飛鳥と御神晃だけならまだしも、師範代までいっしょになって…」
「ちょっとまて…ミサ。ワシは関係ないぞ！」
「いいえ、ご一緒されていたなら師範代も同列ですわ」
フンっ！と鼻を鳴らして立ち去る美沙紀を誠は慌てて追いかける。
「ちょっと待って下さい。那須之さん！」
その姿を見送りながら晃がまたため息をついた。
おわり
200406090034
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