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じゃぱにーずとらでぃしょなるにゅーいやーせれもにー。
右を向いても、左を向いても視界にはいるのは華やかな着物ばかり。
東京とは比べ物にならない着物の割合。
着物なのは女性に限らない。
男性も着物姿が多いのだ。
天照館の門の外で待ち合わせた友人の姿に晃は真っ白な息を吐いた。
「おのれも着物か…」
「普段着でもいいんだけど、年始用にって両親が寄こしたんだよ」
今は郷の外で働いている両親から届けられた着物に袖を通したのだと説明する。
「流石に派手な紋付きじゃないけどね」
枯れ草色の毛の着物。
「……さっきからときどきおるわ。紋付きの羽織袴姿が」
「だろうな。多分、誠や鼎さんはそっち着るんじゃないのか？オレたちと違って郷のしきたりとかあるし」
天照館から七瀬神宮へと続いている道には郷のどこにこれだけの人がいたのか説明できないほどの長い列が続いている。
「ワカは年末年始は自宅やったな。こっちにおれば楽しいのに」
「……誠の場合、自宅にいても結局のところ美沙紀のところでこき使われてるんじゃないのかな？」
那須乃家の縁者であるがゆえか、それとも本人の趣味か誠の日常の優先順位から那須乃美沙紀を外すことは出来ない。
「そりゃ、大変そうだ」
年末年始は休みが取れないと言っていた記憶がある。
「今日のお参りと明日の書き初めは時間を空けるらしいけどね。道場もあるし」
那須乃家だけでなく宝蔵院道場でもアテにされているらしい。
「…ワカも気の毒にな…」
「なら代わってあげれば？」
「………伊波…。ほんまは性格悪いやろ」
「晃ならつとまるんじゃない？」
「絶対に無理や。ワイ…瞬発力なら自慢できるが持久戦は苦手やから」
二人がコンビよろしくそんな会話をくり返していると人混みの間を抜けて誠がやってきた。
「すみません。お待たせして」
「かまへんかまへん。美人ながめとったら時間なんか気にならへんから」
手を振って詫びは必要ないという示す晃に飛鳥も頷く。
「本当に済みませんでした。美沙紀さんの着付けに時間がかかってしまって」
誠の言葉に晃の動きが止まる。
「ワカ……美沙紀ちゃんの着付けしたんか？！みたんか！？」
「ち…違いますよ。髪型が決まらないとかで…。それに着物は自分で着られますから」
「…そっ…そか。そーなら、ええわ」
安心したのか残念がっているのか複雑な表情で晃は後ろ頭を掻く。
「で、美沙紀ちゃんは？」
「紫上さんと待ち合わせしたとかで別の場所に」
結だけでなく伽月や琴音も一緒らしいことを聞きながら人の流れにのって進む。
本殿までたどり着いたところで三人は神妙な顔で年始の願い事を済ませると、お神籤を引きに行く。
普段玉依にしてもらっているのとは違う、どこの神社にもあるくじ引きのようなものだ。
「今年も大吉でいくで！」
がしゃがしゃと筒を振り、出てきた数字を窓口に告げると細長い紙片を渡された。
「…………」
「晃？」
「……………」
返事はない。ただの屍のようだ。
中吉の飛鳥と小吉の誠を見せられた晃は自分の紙片を握りつぶすともう一度列に並んだ。
× × ×
三回引いて、三回とも同じ結果になったらしい。
正月早々望まぬ結果に消沈する晃を見かねたのか、巫女が小さな箱をくれた。
「玉依様からです」
渡された箱の中身を見ると晃はそのまま誠へと渡す。
「ワカ。ワイからのお年玉や」
「え！？」
箱の中の宝玉に慌てる誠を余所に晃は背伸びをする。
「…どうしましょう…飛鳥さん」
「いいんじゃないか。もらっておけば。晃も落としたいんじゃないかな？大凶を」
ちゃんちゃん
200406262120
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