「だからね、怪しいと思うのよ」
　ミリアリアは恋人に力説する。
「たしかにオレも気になってるんだよね」
「でしょ。サイはどう思う？」
「え？まあ、否定できないよな」
　娯楽の乏しい艦内では噂話は最大の娯楽。
　若い彼らとてそれはかわらず休憩中に食堂で話すことはブリッジではできない噂話。
「なにが怪しいの？」
　自分たちの会話に没頭していた三人はその声に顔を引き攣らせる。
「艦長…」
「きゅ…休憩ですか？」
「ええ。そうよ。だからどんな話？」
　ドリンクのボトルを手に笑顔を向ける人に顔を見合わせる。
「えーと」
　マリューは興味津々と言った感じだ。
「あ、もしあなたたち仲間内の話なら聞かないわ」
　少年少女の仲間内の出来事は手を出さない方が良いだろう。
「いえ、実は中尉と少尉のことで…」
「二人とも互いのこと気にしてるようだけどどんな関係かなぁって俺達」
　切り出したミリアリアの言葉をトールが継ぐ。
　二人の言葉にマリューは視線を反らせる。
　その表情に彼らは期待の眼差しを向けてくる。
「そうね。そのことについてならノイマン少尉をつついた方がいいわよ」
　どこか面白がってる響きにトールは「やっぱり」と仲間たちを見る。
「ナタルをつつくと暴発しちゃうから」
　そっちの方が面白いだろうけどブリッジのムードが険悪なのは嫌だとマリューは笑う。
「はぁ」
　返答に窮する彼らにまたあとでと手を振ってマリューは食堂を後にした。
　その後ろ姿を見送って少年少女は息を潜める。
「やっぱりラミアス艦長が最強よね」
「バジルール中尉もこわいけど艦長の方が危険だよなぁ」

おしまい♪
200405121157