「モルゲンレーテ造船課Ｂ、マリア・べルネスです」
　まっすぐこちらに向かってきた美人はそう名乗った。
　目の保養、眼福、男に生まれた幸福ってのはこういう美人に会った瞬間に感じるものだ。
　気がついたら誰かに腕を引かれていた。
　…整備主任？
「鼻の下を延ばすな。艦長がご立腹だぞ」
　え？
　そういえばさっき脇腹を小突かれたがそういうことなのか？
「これが私どもの提供できるスケジュールです」
　手にしたファイルから予定表が取り出される。
「アスハ代表よりみなさまには出来る限りの便宜を図るよう言われておりますので、必要なことがあったらなんなりとおっしゃってください」
　なんなりと？
　ココロときめく言葉。
「ありがとう。では詳しいことはうちの整備主任から出させるわ。アーサー」
「はい」
　何でしょう艦長？
「あなたはもう下がってもいいわ」
「え！」
「当然でしょう。あなたがここにいても何の役にも立たないんだから」
　艦長の言ってることは確かに正しくて、ここにいてもできることはないのはわかってますが。
「整備主任は彼よ。実務は彼と話してちょうだい」
「わかりました。うちの現場の責任者は……」
「アーサー！早くいきなさい！お二人ともごめんなさいね」
　追い立てられるようにその場から離れたものの名残惜しく、滞在期間中に食事でもと思いたいのですが。
　

おしまい