いざオーブまでは来たけれど難問山積み。
　幾度目かの溜息でマリューは机に頭を乗せる。
「はぁ……」
　重苦しい息を吐く。
（なんでこんなになっちゃったんだろう…）
　人生を振り返っても仕方が無いが、一人でいるといろいろと考え込んでしまう。
　これまではアラスカに行くことという明確な目標があったけど…。
　いまやただのお尋ね者だ。
「溜息ばかりじゃ、体に良くないよ」
　軽い声が頭上から降り注ぐ。
「せめて溜息ぐらいは吐かせて下さい」
　伏せたままその声に応じる。
「……なんなら酒でも飲むかい？気が済むまでつきあうよ」
「…………」
「あ…べつに下心はないから」
　無言を拒否と受け取ったのだろう。
　慌てる声が可愛らしい。もっとも下心を否定するあたり、そんな部分があったに違いない。
「じゃぁ、お茶を入れて下さい。とびっきり美味しいのを」
　顔を上げ、自分を見つめている人の顔を見る。
「ＯＫ。とびっきりのを入れて差し上げましょう」

ＥＮＤ