「泣く子とカガリには勝てない」
　大真面目にそう告げるキラにアスランは言葉を詰まらせる。
「なんだ。もう負けを認めてるのか？」
「……だって、考えてごらんよ。僕がカガリに勝てるのなんてフリーダムの扱いとか、身体が丈夫な事とかぐらいじゃないか」
　指折り数えてる親友の姿に溜息が出る。
「口では勝てないし、多分カガリを殴るなんて真似はもう恐ろしくって出来ないし」
「…………」
　何を考えてこんな事を言い出したのか。
　その真意が分からない。
「それにさ、カガリになにかしたらアスランから復讐されそうだし。あ、でも…」
　なにやらキラの頭の中には計り知れない考えが渦巻いているらしい。
「……キラが負けるのはカガリだけなのか？」
　その問いかけにキラは考えこむと、思い出したように手を叩く。

「ラクスにも絶対勝てない」

　元婚約者の名に明後日の方を向くとアスランはまた溜息を吐いた。

おわり