「おまえ…ホント馬鹿だな」
　傍らに立つカガリは呆れたという言葉の代わりに「馬鹿」と繰り返す。
「そうだな。オレも馬鹿だよなぁ」
　言われたアスランはそれを肯定するように答えると口元に笑みを浮かべた。
「な…なんだよ。気持ちが悪いな」
　馬鹿といわれて嬉しそうに笑みを浮かべるなんて本当に馬鹿になってしまったのだろうか？
　カガリの表情は口でいう以上にはっきりとそんな思いを伝えている。
　いつだって口にするよりも確かに伝わってくる気持ち。
　彼女の言葉にも表情にも裏表はない。
　それがとても嬉しくて、そして羨ましかった。
「いや。カガリに馬鹿といってもらえるのが嬉しくてね」
　腕を伸ばして抱き寄せる。
　あがらうことなく腕の中に収まってしまう。
「………ばか……」
「馬鹿だよ。オレは。カガリの前ではいつだってね」

馬鹿なまま終(笑）