「また海が見たいな」
　呟かれた言葉にカガリは口元を綻ばせる。
「すぐにまた行けるさ。今度はなにがしたい？」
　前回はどうだったかなどとはあえて語らない。
「そうだなぁ…。手をつないで、浜辺を歩くってのはどうだ？」
　あまりにもべたな発言にカガリは吹き出す。
「ドラマみたいだな」
「そうか？オレとしては結構真面目だぞ」
　互いの顔を見合わせ、またどうしようもなくおかしくなって吹き出す。
「わかった。二人で浜辺を歩こう。時間帯は夕暮れ時と夜明けとどっちがいい？」
「そりゃ、夕暮れだろう。こー場を盛り上げて…」
　二人並んで歩く海辺。
　夕陽を受けて表情を輝かせる少女を少年は抱き寄せる。
　そんな未来の物語。
　二人で歩こう。
　なにもせずに。
　ただ静かな渚を。
　二人並んで……。

END
200310091025