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敵は殺さなければならない。 そう教えられてきた。 そうしてきた。 なのに焚き火の向こうにいる少女を殺すことが出来なかった。 彼女の悲鳴を聞いたとき、目の前の敵が初めて人間に見えた。 同じ人間。 泣いて笑って怒って…。 くるくると表情を変えて。 お互いに向けて突きつけられた銃口。 敵だと言ったのに…。 今は目の前で寝息を立てている。 これほど近くにいるのに触れあえない関係。 次に何処かであったときには殺しあうかも知れないのに。 それが今の世界だと云うのに。
そんな時代は早く終わればいい。 この安らかな寝息が乱されないうちに。 そう…。 早く終われば…。 END |