「生きていてよかったな」
　カガリの言葉にアスランははっとする。
　キラが…。
　殺したと思っていた。
　後悔ばかりしていた。
　その相手の姿を見ていた。
「ああ…」
　キラだけじゃない。
　自分も、カガリも生きていた。
　三人で揃って生きて会えたこと、再会を喜びたい気持ちとそうすることの出来ないいまの状況にアスランは短く答える。
　
　また…会えてよかった。
　
　誰よりもこの少女に。
　言葉にしない思いを胸のうちで溶かす。
　最後に別れたとき、自分は何と言っただろうか？
　二度目の再会。
　敵でも味方でもないいまの自分。
　その自分を前にしてもカガリの態度は変わらない。
「どこまでついて来るつもりだ？」
「監視しているだけだ」
「そうか」
　少女のぶっきらぼうな声。
　このやり取りにどこか安らぎを覚える。
　その答えは、キラと共に抱きしめられたあの一瞬のうちに分かっていたような気もする。
　
　そう…。
　自分は会いたかったのだ。
　もう一度、この少女の瞳をまっすぐに見るために。

END
200310092027