「おまえさ…」
　カガリの声にアスランは顔を上げた。
「それ、似合わない」
　へ？
　何のことだかわからず、アスランはカガリの手元を見た。
『それ』と向けられた指はアスランを指している。
　一瞬、アスラン自身を指しているのかと思ったが、そんなはずはなく着ている物のことを云っているらしい。
「…あのな…。これは…」
　クサナギのクルージャケット。
　つまり、支給品。
　似合う似合わないのレベルじゃないだろう…。
　言い返そうとしたアスランはカガリの呟きに口を閉じた。
「パイロットスーツの赤は似合ってるのになぁ…」
　何か誤算があったのかぶつぶつと口の中でくり返している。
「なんだ。この服じゃいけないのか？」
　釈然としないアスランは顔をしかめた。
「いや…別にそういうわけじゃないさ。ただなぁ…」
「ただ、なんだ？」
「おまえは何を着ても似合わないタイプなんじゃないかってアサギが言うんだよ」
「はぁ？」
　どういう思考回路をしているんだ？！
　そう叫びたくなる答えだった。
「……わるかったな…似合わなくって」
　思いっきり不機嫌なアスランの声にカガリは慌てて手を振る。
「気にするな。どうせ支給品なんだし。私だって同じ物を着ているんだ」
「……………別に…気にはしてなかったさ…。今までは…」
「今までは？」
　カガリは首を傾げる。
「そりゃ、少しは気になるよ。なんせカガリとペアルックだもんな♪」

END
200401112303