「キラが倒れた？」
　アスランは眉間にしわを寄せてその報をもたらした恋人を見た。
「オーバーヒートだって。今はラクスがついてる」
　窓辺の椅子に座ったカガリはつまらなそうに足をぶらつかせている。
「…で、カガリは追い出されてきたの？」
「まさか。そうなる前に自分で出てきた。馬に蹴られるのはゴメンだから」
「まぁ、それがいいだろう。オレの部屋に来てくれたのは歓迎だけどね」
　笑顔を向けてくるアスランに対してカガリの表情は釈然としない。そういいたげだった。
「オレに何か言いたいことでもあるのか？」
　カガリは視線を外す。
「アスランは、…キラみたいにへばったりしないよなぁ。と思ってる」
「当然だろう。オレは軍人だよ。キラとは元々の鍛え方が違うよ」
「そうなんだよなぁ」
　窓枠に頬杖をついたままの気のない返事。
　
「オレが倒れたら看病してくれる？」
　
　何気なく投げかけた言葉にカガリは反応しアスランを見つめる。
「倒れる？おまえが？」
「そ。オレが」
「…………ありえない…」
「なんで？オレだって人間だよ」
「そ…そうだけど。でも…おまえの場合、心労や過労で倒れるよりも…どちらかというとケガとかの方が…」
　カガリの言葉は痛いところを突いていただけにアスランは言葉を失う。
「……どうせオレはケガばっかしてるよ…」
　頬を膨らませたアスランの姿にカガリは小さく笑う。
「わかった。倒れたらすぐ連絡しろよ。わたしが看病してやるから。………でも、おまえの看病したらわたしの方が倒れるかもしれないぞ？」
「いいよ。そうなったら今度はオレが看病してやるから」

END
200309101830