「すごいなぁ…」
　武器庫に入るなり感嘆の声を上げるアスランにカガリは溜息をついた。
　年代物のお飾りを見て嬉々としている姿は可愛らしいを通り越して呆れてしまう。
「そのあたりはアスハに古くから伝わる物で実用性は無いぞ」
　随分と昔から、それこそ古い物では何百年も前から保管されてきた品々は実用性には乏しいものの骨董的価値はかなりのものである。
「そんなことより、おまえ…自分が何をしに来たのか忘れてないか？」
　その言葉にきょとんとしたアスランは、ごめんごめんとくり返すとカガリに促されて部屋を奥へと進んだ。
　重い鉄製の扉を開け、その奥に置かれた実用性の高い品々を見て回る。
　先ほどまでのお飾りと違って、これらの品は手にとってその具合を見なければならない。
　実弾こそ装填されていないが、重さや握りの太さなど個人の力にあわせて選ばなければいけない。
　ぶつぶつと呟きながら銃を見つめる姿は一層アヤシイ。
「…おまえ…ガンマニア？」
　そのあまりにも締まりのなくなった表情には呆れると言うよりもむしろ感心を覚えるぐらいである。
「マニアってほどでもないさ…」
　そう返事をしながらも一丁ずつ手にとっては性能を確認する姿に説得力はない。
　カガリとて銃火器の扱い方は一通り仕込まれているが、今のアスランのように銃を見てうっとりするということはない。
「……………」
　しばらくついて何を言っているのかを聞いては見たが、その内容はちんぷんかんぷんだ。
「で、私に合う銃は見つかったのか？」
　今まで使ってきた口径の大きめの銃にダメ出しをしたのはアスランの方なのだ。
「え…あ…えーと…」
　くるくると辺りを見回し、いくつかを手に取ってみる。
　その中に気に入った物があったのか２丁ほどカガリに持たせる。
「右のが重力下向きで左のが無重力用だ。殺傷力は落ちるが片手でも使えるはずだ」
　護身用に持つには丁度いいだろう。
　今までの銃はサバイバルキットに入れるならともかく日常忍ばせるには向いていないというのがアスランの見解だ。
「まぁ、基本的にはＳＰがつくだろうからお前自身が銃を振り回す必要はないだろう」
　どんな銃器にしろルージュに比べれば火力がダウンするのだからとアスランは笑う。
「あ、ついでにこいつも渡しておく」
　何を思ったのか懐から自分の銃を取り出してカガリに渡す。
「お守りだ。使うとき以外は間違ってもセーフティ外すんじゃないぞ」

END
200309291149