カガリと二人きりで出かけようと思ったのに…またキラに邪魔された。
　アスランは溜息混じりで隣の二人を見る。
　双子たちはクレープを食べながら他愛もない話をしている。
「ほら、キラ…。クリームが付いてる」
　頬に付いたクリームをカガリに指摘されたキラは慌ててそれを拭う。
　その二人のやり取りが憎らしくて、アスランはカガリの腕を取ると食べかけのクレープを口に運ぶ。
「え、あ…酷いぞアスラン！私の食べかけだったのに」
　大きくかじられたクレープを見てカガリは憤慨する。
「ごちそうさま。カガリがちっとも食べないからいらないのかと思ったよ」
　アスランの言葉にカガリはそっぽを向く。
「嘘だよ。カガリがキラばかりかまってるから…」
　耳元にそっと囁くとカガリは真っ赤になってアスランを睨み付ける。
「ばか…。人前でまたそういうことを…」
　嫌がってみせるが拒んだりはしない。
　それを知っているからアスランはカガリを挑発するようにからかうのだ。
「アスラン！このばか…！」
　形だけの拳に殴られながらカガリの隣を見ると、凄い目つきでキラが睨み付けてくる。
「キラもいい加減カガリ離れしないと…」
　長い間お互いを知らずに育った分、その空白を埋めようとするキラのカガリに対する愛情は並々ならぬ物がある。
　余裕ぶって諭してみたが、逆効果だったようでキラをとりまく空気の色が心なしか黒いように見える。
「姉弟だからっていつまでも一緒にいられるわけじゃないぞ」
　カガリを抱きしめ、キラに見せつける。
「アスラン…。いくらアスランがカガリを好きでも、所詮君たちは他人だ！」
「それがどうした？他人じゃなきゃ結婚できないだろうが」
　すぐさま切り返すアスランを怨みがましく睨むとキラはまた何やらと言い返す。
　そんな応酬がしばらく続いた。
「…おまえら…なにバカいってんだ」
　二人のやり取りにうんざりしたカガリがアスランの手を振り解く。
「もぉ、やめた。二人で一生じゃれあってろ。私は帰る」
　手にしていたクレープの残りをアスランに押しつけ、どんどん遠離って行く。
「まって！カガリ！」
　アスランはクレープをキラに押しつけカガリを追いかける。
　二人が何かを言い合っているのを遠くに見ながらキラは二つのクレープを食べた。

END
200310091006