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目の前にマグカップが置かれてあたしは顔を上げた。
「何を見てるかと思ったら、アルバムか」
手元の画面を見て彼は苦笑する。
「おじちゃまが貸してくれたのよ。よかったらどうぞって」
アカデミー時代の写真は本人が気づかないうちに撮られたモノもある。
「パパと本当に仲が良かったのね」
「あのなぁ……」
ことあるごとに二人は常に並んで写っている。
ただし、苦虫をかみつぶしたような顔で。
競技会や演習の写真などいつ撮ったのだろうか？
「誰がこんなも………」
写っている顔ぶれに言葉を切る。
「あいつか…」
彼の他に写っているのはパパとおじちゃまともう一人オレンジの髪の人。
「？」
静かにお茶を飲む人の少し沈んだ表情にあたしは口をつぐむ。
「おまえが気にする事じゃない。ただ、今はもう居ない仲間がいたって事だ」
まるで子どもをあやすように髪をかき回されあたしは首をすくめる。
「また、そうやって子ども扱いする…」
こどもだろ。
彼の口がそんな風に動く。
たしかに、あたしはずっと年下で、あなたはパパよりも年上かも知れないけど、いつまでもあたしは子どもじゃないのよ。
わかってるでしょ？
その言葉を口の中で消化して腕にすがりつく。
「ねぇ、あたしたちも撮らない？」
「とってどうする？」
「パパとママに送るの」
笑いかけるあたしの前で、彼ははっきりと口元を曲げて不機嫌になる。
「いいじゃない。見せつけてあげましょうよ。こんなに幸せですって」
おしまい
200411022106
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