「兄上〜お願いがあるのじゃ」
　突然部屋を訪れたリムの姿にハイフェルシオンは笑みを浮かべる。
「どうしたの」
　リムは辺りを窺いながら部屋の中にはいると急いで扉を閉めた。
「兄上に内密のお願いがあってな」
　不思議な言い回しに先を促す。
「うむ。…兄上の仲間にな…すごく気になるものがおるのじゃ。わらわも一匹欲しいのじゃが何とかならぬだろうか」
　一匹？
「リム…竜馬はダメだよ」
「兄上……違うのじゃ…それに竜馬は一匹とは数えぬぞ」
　嫌な予感がした。
「わらわが欲しいのはドレミの精なのじゃが…なんとかならんかのう？」
　小首を傾げておねだりの視線。
　可愛い。
　この可愛い妹の願を叶えずなんの兄だ。
　そう思えるのだが、ここは心を鬼にして首をふる。
「むう……だめかのう…」
「絶対に」
　妙に強いハイフェルシオンの語調にリムは驚き、眉がなぜじゃといわんばかりに寄せられる。
「ほ…他のものはないのかな？」
　妹の困り顔に弱い兄は尋ねる。
「ならば…もっさもさはどうであろう？なかなかの手触りと聞くぞ」
　あと、あれとこれと…。
　次々とモンスターの名前が出てくることに合点がいったハイフェルシオンは心の中で叫んだ。
　ミアキス…なにをまたリムに吹き込んだ！！

おしまい
200606160940