夕食後に食堂でのんびりテレビを見ているかなでのもとに響也がやってきた。
「かなで」
「なぁに？」
　テレビに集中しているかなではやる気の無い返事をする。
「おまえ、今日一緒にいた美少女は誰だ？」
　元町で一緒に歩いていた白い帽子とサマードレスの美少女だよと響也は力説する。
「枝織ちゃん」
「しおり？名前も可愛いなぁ」
「可愛いよ」
「そうか。今度会ったら紹介してくれ！」
　やる気満々の言葉に「うん。なんかあったらね」と素っ気なく返す。
「じゃあ頼むな！」
　それだけ言うと響也は去って行った。
　響也が去ったのと入れ違いにその枝織からメールが入る。

『明日の午後、一緒にお買い物に行きませんか？』

　かなでは友達も連れて行くからと返信した。

　時間より早く待ち合わせの場所に着いたにも関わらず、枝織はすでにそこにいた。
　前に見たのとはまた少し違うけど、同じような純白のサマードレス。
　その姿に響也はぼーっとしてしまう。
「枝織ちゃん早いね」
「はい。兄もこちらに用事があると言っていたので、一緒に少し早めに出たんです」
　枝織は笑顔で返すとかなでと並ぶ響也を見た。
「あ、枝織ちゃん、これはね如月響也。前に話した幼なじみの弟の方。でね、響也、こちらが冥加枝織ちゃん。天音の中等部にいるの」
「はじめまして。響也さんのことはかなでさんから色々伺ってます。今日はお会い出来るのを楽しみにしていました。よろしくお願します」
　枝織がお辞儀をする、響也は慌ててお辞儀を返してから「冥加？」と呟く。
「あ、冥加さ〜ん」
　少し離れた店から出て来た人に、かなでが大きく手を振る。
「小日向……それに…」
　冥加は仕方なく三人の元にやってくる。
「響也、冥加玲士さん。枝織ちゃんのお兄さんだよ」
　かなでの何気ない言い方に響也は固まる。
「ほら、きちんと挨拶しなよ。響也が枝織ちゃんと結婚したらお義兄さんになるんだよ」
「結婚だと！」
　冥加が素早く反応する。
「ちょっとまてかなで！今日初めて名前を知ったばかりなのに、いくらなんでも…」
「でも、もしかするとそうなるかも知れないじゃん」
　とぼけるかなでに冥加はこんな駄犬に妹はやれるかと吠える。
　一方響也も枝織はともかく冥加は嫌だと猛烈に落ち込む。
「あ、そうか…響也と枝織ちゃんが結婚したら…あたし、響也からも枝織ちゃんからもお義姉さんって呼んで貰えるのかなあ」
　ニコニコとかなでが呟いた言葉に皆の視線が集中する。
「待てかなで！相手は律か！それともアイツか？」
　かなではにっこり笑顔で返した。

おしまい
201006070659

おまけ
寮に帰ったかなでは今日あったことを友人に笑顔で報告する。
「ほう、如月弟と枝織が？」
「うん。そうなったら面白いと思うの」
「そうだな。そうなったら、如月弟が私の義理の従弟になると言うことだな」

ちゃんちゃん♪